【意外な事実】父になることで、男性の脳も「変化」するらしい
女性が母になると、子を育てる本能、いわゆる“母性”が発揮されることは想像に容易い。しかし、意外なことに子を持つことは男性にも、同様の変化をもたらすようだ。
この意外な事実を明らかにしたのは、スペイン「Instituto de Investigación Sanitaria Gregorio Marañón」と米国「University of Southern California」の共同研究チーム。
同チームは、スペインとカリフォルニアで各20人ずつ、計40人の父親を募集。彼らの脳を、子どもが生まれる前と生まれた6ヵ月後にMRI分析したところ、両グループにおいて、生後は大脳皮質の視覚処理能力や、新生児への共感力・注意力に寄与する―――つまり母性を司る脳の領域に大きな発展がみられたというのだ。
性別問わず
「子育て脳」になってしまう
妊娠や出産を経験しない男性に、いったいなぜこうした現象がみられるのだろうか。
研究者たちによると、これは「脳の可塑性」とよばれる、新しい経験や体験などによって脳機能が変化する脳神経の働きによるものだそうで、私たちが言語を学習したり、楽器の演奏方法を覚えたりするときにも起こるのだという。
つまり、出産・妊娠を経験せずとも、子どもと関わる時間が増えれば、我々の脳は子育てに最適化され母性を育んでいく、ということらしい。
この育児がもたらす男性の脳の可塑性は、実はこれまでにも確認されてきた様子。2014年に行われた別の研究では、女性の関与なしで主体的に子を育てるゲイ男性と、サポート役的に子育てに関与するストレートの男性に、自身が子どもを遊ぶ映像を見せたところ、前者は後者に比べて、感情処理回路と認知的共感に関連する脳神経の回路がより活発に働いたのだそう。
実際に今回の調査でも、父親にも4ヵ月の育児休暇取得が認められているスペインの父親グループの方が、アメリカの父親グループに比べて、顕著な変化が確認された。つまるところ、我々を親とせしめたる最たる要因は、妊娠・出産などの特別な経験、性別ではなく、日常的な子との関わりなのだろう。
きっとその気になれば、誰もがステキな“育て親”になれるのではないだろうか。